マインツ所属の海外志向の若武者-水多海斗(21)の異例のキャリアと現在地

ブンデスリーガ1部のマインツU-23チームが、2021年5月20日、水多海斗選手を獲得しました。

水多選手は、実はかなり異例の速度でステップアップをしている注目すべき若手の一人です。

〇水多選手のキャリア

【経歴】

2019年 前橋育英高校⇒SVシュトラーレン (ドイツ5部)

2021年 SVシュトラーレン⇒マインツU-23 (ドイツ4部) ※契約期間:2024年6月30日迄

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〇前橋育英高校時代

水多選手は細貝選手や田中亜土夢選手ら数多くのプロを輩出した強豪、前橋育英高校(群馬)の卒業生です。

2018年、当時3年生の水多選手も出場した高校選手権では、ベンチ入りした3回戦、染野唯月選手(現鹿島アントラーズ)要する尚志高校(福島)に敗れ、惜しくも敗退しました。

2017年の優勝による連覇のかかったプレッシャーも、相当にチームにかかっていたことと思います。

2回戦ではスタメン出場を果たしていたため、尚志戦でベンチスタートになった理由も、恐らくコンディション不良等の問題があったものと思います。

超マンモス強豪校のレギュラー格の存在ではあったものの、この時点では3年後彼がブンデスリーガ1部の試合にベンチ入りすると想像していた方は少なかったと思います。

〇なぜ高校卒業後、ドイツに?!

ではなぜ、日本の高校でプレーしていた彼が突然ドイツに渡る決断をしたのか、掘り下げていきます。

実は前橋育英高校の前のキャリアとして2015年、水多選手はFC東京のU-15チーム、U-15むさしに所属していました。

ここで1年年上として、バルセロナから来日した久保建英選手と共演しています。

バルセロナ帰りの久保選手の凄さは想像に難くないですが、久保選手はその2年後、16歳にしてFC東京とプロ契約を果たしています。

(余談ですが実際に、FC東京対横浜マリノス戦で久保選手のプレーを見る機会がありましたが、他のプロ選手と段違いに俊敏性があり早すぎて周りのイメージと合っていないような状態でした)

それほどに圧倒的に上手かった久保選手と出会った中学生の水多選手は、いつかタケフサと同じ舞台で戦いたい、という思いを募らせ、高卒からすぐにドイツに渡る決断をしました。(Footbolistaインタビュー参照)

〇渡独後のキャリア

2019年、単独ドイツに渡り、SVシュトラーレン(ドイツ5部)に加入後、主に左WGとして出場し、すぐにシーズン21試合11ゴール5アシストの活躍を見せ、チームの4部昇格に貢献しました。

この時点で、ブンデスリーガのU-23チームから声がかかっていたようですが、所属チームとの契約が残っていたため、チーム残留を決断します。

2020-21シーズン、4部でも主力として6ゴール10アシストの目覚ましい活躍を見せます。(ボルシアMG(ドイツ1部)のU-23チームと対戦した練習試合でもハットトリックを決めています)

契約更新のタイミングでもあったため、複数の選択肢の中からマインツのU-23チームへの移籍を2021年6月に決めました。

そんな中、すぐに大きなチャンスが訪れます。

〇ブンデスリーガベンチ入り(2021年8月15日、ライプツィヒ戦)

マインツトップチームは、コロナ陽性者・濃厚接触者を多数抱え、第1節のライプツィヒ戦を迎え、この1戦で水多選手はベンチ入りを果たしています。

この試合、残念ながら交代出場を果たすことはできず、水多選手もツイッター上で決意を表明しています。

上記のようなチーム事情があってのベンチ入りだったかと思いますが、U-23チームでの活躍が認められれば、今後正式にブンデスリーガの試合で見られる日も遠くないと思います。

〇水多選手の現在地 (マインツU-23)

第7節を終え、4部のSouthwest地区に所属するマインツU-23チームは首位に立っています。(2021.9.15時点)

4部リーグは所属クラブが非常に多く、地区ごとに分かれているのですが、Southwest地区の19チームの中で1位になることで、3部に自動昇格できるようです。

現在は主に右WGでプレーしており、現時点で6試合371分プレーし、9/14のホンブルク戦では交代出場から1分ゴールにゴールを決めています。

左でも右でもプレーできるポリバレントなフォワードで、得点力も高いため、今後も継続的に活躍できると思います。

移籍後、間もないため、チームに馴染むとともに、これからどんどん得点を重ねるのではないかと思いますので、今から活躍が楽しみです。

高い俊敏性と、シュート決定力で、かつての香川選手を思わせる爽快感があるプレーが特徴的です。

↓水多選手のプレー集

KAITO MIZUTA RMB SPORTS

〇総括

実は、ドイツでプレーする日本国籍選手は日本以外の国で最も多く、Transfermarktで確認する限り、下位リーグを含めると257名います。

これは2番目に多いスペインの7.5倍の登録選手数です。

その中で、21歳の時点で4部リーグのしかもブンデスリーガのクラブの下部組織に加入できている選手は本当に一握りです。

(ブンデスリーガのU-23選手は、4部であってもブンデスリーガ出場のチャンスがある点で非常に恵まれています)

更に、水多選手の特筆すべき点は、5部、4部でコンスタントにゴール・アシストという結果を出し続けている点です。

やはり海外では明確な結果を残すまで、外国人選手、特にアジア人の日本人はチームの信頼を得ることは難しいですし、パスを出してもらうまで時間がかかります。

その点で、攻撃能力の高い水多選手であれば、今後の飛躍が期待できますし、エスカレーターで上がってきたマインツユースの選手達の信用も早い段階で得られると思います。

国際大会の舞台で日の丸を背負う未来も、見えてきているように思います。

当ブログではこれからも水多選手の活躍を追っていきます。

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